きいろい青空【完】
新学期の廊下。
みんなは驚いた様子でうちを見てくる。
3時間目の休み時間を颯爽と歩く。
学校を休んだら、余計かわいそうって思われる。
だから、不登校なんかになりたくない。
そして、化粧もバッチリして颯爽と歩って…
強い自分を演じている。
向かった先は、つーちゃんのクラス。
入り口にいた先輩に声をかけ、つーちゃんを呼んでもらった。
「なに…?花恋…」
目をなかなか合わせようとしないつーちゃん。
「ちょっと来て」
そう言って5階の廊下に行った。
ふたりきりで、しんとしているこの廊下。
話すには絶好の場所だ。
「つーちゃんは、颯の元カノなんだよね?」
「うん…」
聞こえないくらい小さな返事。
「なんで、自分が浮気したくせに、ヨリを戻そうとしたんだよっ!?自分が颯を裏切ったくせに」
「うん…」
下を向いて、うなずき始めた。
「うちに友達になろうって近づいてきたのも、颯に近づくためだよね?それと、直輝と付き合っているのも、うちに近づくためで」
そう、これが本当のつーちゃんの考え。
優しい先輩なんかじゃなかった。
騙されていたんだ。
「うん…ごめんなさい…」
「謝って済むことじゃねーだろっ!?うちは、つーちゃんの事。友達だって思っていたんだよ?マジ最っ低」
平手打ちをしようと手を振り上げた瞬間。
誰かに後ろから手を捕まえられた。
びっくりして、振り返ると直輝だった。
「花恋。やめろ」
静かに言った。
「離して!!どうして、直輝はつーちゃんの味方をするのっ!?」
そう叫び、無理やり手を振り払った。