きいろい青空【完】
新しい道
歩き慣れていない、新しい通学路。
いつもの街も違う街に来たみたい。
袖を通した新しい制服。
上手く縛れないネクタイ。
すべてが新しい。
今、ひらひらと舞い落ちる桜並木を歩いている。
周りには、同じ制服を着たひとたちが行き交う。
「直輝ぃーーー!!」
後ろから声がする、と気付いたときには遅かった。
後ろから英斗が勢いよく背中を叩いた。
「痛いよぉ~」
ジンジンとする背中をさすりながら言う。
「はよっ!!早く行こーぜ」
輝くばかりの英斗の笑顔が眩しい。
「うん!」
まだ真新しい白い校舎が見えてきた。
ここで俺たちは3年間を過ごすんだ----
きのう入学式があって、本格的に今日から。
結局、俺と英斗と美久、花恋は同じ高校を志望した。
そして見事合格。
しかも、同じクラス。
「ぜってぇー、美久に告るっ!」
英斗は拳を空に突きだした。
「お~。がんばれ、がんばれ」
なんか楽しくなりそうだ。
そう。
俺の高校生活が始まったんだ。