きいろい青空【完】
「これから、5組と7組の決勝戦を始めます。礼っ!」
「おねがいしゃーっす!」
試合が始まった。
よく俺たち、ここまで来たな…
3年生にも勝って。
感心してしまうほどの勝ち進み方。
「英斗、マーク!!」
俺の指示で、英斗が竜也のマークに付く。
そして、俺がゴールにボールを運ぶ。
「ナイッシュー!!直輝」
スパッときれいな音をたてボールが入った。
みんなとハイタッチして喜ぶ。
だが。
「竜也ナイスー!」
5組の中で喜びの掛け声が聞こえ、ハイタッチをしている。
竜也が簡単に入れやがった…!
なんだよ、バスケ部でも無いのに。
俺はバスケ部で。
なんか俺まで対抗心むき出しになってきた。
「直輝、落ち着いて行け」
「うん」
後ろから英斗が肩を叩いた。
その時、得点表をチラッと見たら…
ヤバイじゃん!
点が追いつかれている…
このままだと負ける!
「くそっ!」
舌打ちをした。
英斗のアドバイスをもらったが、焦ってなかなかシュートが決まらない。
さっきからリングに当たってばかりで。
「落ち着けよ、直輝!」
どっからか英斗の声が飛ぶ。
「わかってるよ!」
つい、怒り口調で返してしまった。
なんだかイライラしてきた。
バスケの試合で初めてだ。
こんなイライラの気持ちと共に戦ったのは。
残り、あと1分。
53対52。
あと1点なのに…!!