きいろい青空【完】


その日の学校帰り。


家の近くのあの公園へふらっと立ち寄った。




うわぁー……久しぶりだ!!



遊具も景色も、何もかもが変わっていなかった。




そして、昔と同じようにブランコに乗る。


俺の特等席だ。




セミの声がかすかに聞こえてくる。


9月なのに…



考えてみたら、高1の秋が訪れようとしている。


早いなぁ……




「あっ!直輝ぃ~」




声をするほうを見ると、美久が手を振りながら歩って来る。


この光景、懐かしい。



「あれ?なんで美久いんの?」




「塾の先生にご挨拶。お世話になりましたって」




そう話しながら俺の隣のブランコに腰を下ろした。




「あ~。昔、通っているって言ってたなぁ~」



「まぁ、夏休みまで行ってたけどね。てか、直輝は?ここで会うの懐かしいねっ!前は、ここでよく話したよね。…………ん?てことは~…また悩み?」




美久が俺の顔をのぞき込んだ。


鋭いな…美久。




「んまぁ…そんな感じ?かな……」




紛らわそうとブランコをゆっくりと漕ぎ始める。




「なに?話してよ?」





ふっと俺に笑みがこぼれた。



昔から、美久には相談ばっかりしているなぁって思って。



美久だとなんか安心して喋っちゃうんだ。





「あのなぁ…。竜也が他の女とキスしているのを見ちゃったんだ」



「え!!浮気…ってこと?」




「だから、竜也のところに行って話したんだ。花恋がいるのに、他の女とそんな事するなって」



「うん。そしたら?」




美久は興味深々になって相づちをうつ。





「花恋も軽い女だって言われた…彼氏がたくさんいたから。軽くないって言ったけど、わかってもらえなかった……お前は関係無いって言われた。俺は言わないほうが良かったのかな…?」








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