きいろい青空【完】
「直輝が竜也くんに言ったのは、間違っていないよ。花恋の幸せを思って言ったことでしょ?」
美久の言葉で救われた気がする----。
「ずっと、花恋と他人してきたけど…花恋が幸せになったら堂々と他人になる」
「なに?“堂々と他人”って」
美久はクスクス笑っている。
「笑うなよっ。だってそうだもん。颯さんに言われたんだ。“直輝は花恋を幸せにする役目”だって。だから、この役目を果たしたら…」
「果たす方法は見つかったの?」
俺の言葉を遮り問いかけてきた。
「それが見つからなくて悩んでるんじゃん…どうすれば、花恋は幸せに…」
「でもさ。役目果たしたら“堂々と他人”になっちゃうよ?」
「いーんじゃないの…翼もいるしさ」
「ふ~~ん。私は花恋の味方だから、その方法教えてあげよっか?」
「花恋が幸せになる方法っ!?教えて?」
俺はブランコから飛び降りた。
そして俺は美久を見つめ、言葉を待つ。
「よく聞いてね?」
風がひとつ吹いた。
「すーーーーーごい昔。直輝たちが、まだ小さかった頃…花恋とした約束----思い出して?」
「約束……?」
「うん。それを思い出せたら、役目は果たせると思うよ」
美久の瞳には夕陽が映っていて、あまりにもキレイで見とれてしまった。
髪もオレンジ色に染まって…
美久の言葉はすっと心に吸い込まれてしまった。
「………うん、わかったけど」
「あとは、直輝次第。少しは自分の幸せも考えたほうがいいと思うよ?直輝は」
「あ、ありがとう。美久」
「うん。頑張って!じゃあ、そろそろ帰ろっか」
美久はブランコから立ち上がった。