きいろい青空【完】
「てか、本人いねぇーの?」
「いねぇ。さっきの休みに早退した」
早退?
直輝の机を見ると、からっぽだ。
気付かなくてゴメンて心の中でつぶやく。
なんか…つぶやいてしまった。
「マジ笑えたっ!あの竜也にキレてんだぜ?何考えてんだか」
「だよなぁ~。俺、あぁいうのが一番ムリ。おとなしいんなら、おとなしくしてろってカンジ。調子乗ってね?」
「あーわかる!!づいてるよなっ。ワハハハ」
笑い声が聞こえてくる。
うちは拳を握りながら席を立った。
そして、そのふたりに歩み寄った。
「今、なんて言った?」
「あ?だから、直輝ってづいてるよなって話してたんだよ。つうかさぁ、気になったんだけど。花恋と直輝ってどーゆー関係なんだ………っ!」
うちはコイツの胸倉をつかんだ。
シャツを掴む。
「は?なにして…」
固まっているコイツの頬に思いっきり平手をぶつけた。
パンっ----!!
すごい音をたて、周りの空気も固まった。
こいつは自分の頬を抑え、見開いた目を向けている。
「今度、直輝の悪口言って見ろっ!!」
コイツの胸倉を掴み叫ぶ。
「お前なんか…うちが殺してやるっ!!」
「やめろ!花恋、落ち着けって!」
英斗がうちを掴み抑えようとする。
「離せよっ!直輝のことを悪く言う奴は、うちが許さねぇんだよっ!!」
「お前、頭おかしんじゃね?彼氏いるのに、他の男かばってんの?どうかしてんだろっ」
吐き捨てるように言葉を放つ。
「ダメなの!!あいつはうちの…」
言葉が詰まってしまう。
でも、のどまで来た言葉を放った。
「幼なじみなんだよっ!!」
“幼なじみ”
そう、直輝はうちだけの幼なじみだ。
「だから、うちが許さねぇーー!!」