きいろい青空【完】
ガラガラガラ。
じいちゃんがストレッチャーに乗って手術室から運ばれてきた。
「じいちゃん!」
近寄った。
じいちゃんは、安心した顔で寝ている。
そのまま俺は、じいちゃんの横に付き病室まで歩いた。
病室のベッドに移す看護士さん。
「いつ起きるかなぁ?」
丸椅子に腰掛け、ただ言った。
「さぁな」
そんな曖昧な答えしか返してくれない父さん。
さっきとは、全然違う落ち着いた空気が流れていた。
少しすると。
「……っ………」
かすかに聞こえたじいちゃんの声を捕らえた。
「ん?起きたのかな?」
父さんがじいちゃんに近付いた。
その時、ゆっくりゆっくり、じいちゃんの目が開いた。
「あ。起きた」
と、父さんが言って
「え、本当?」
と母さんが言った。
みんなでじいちゃんを取り囲んだ。
みんな、安心しきっちゃって目覚めたことにそれ程驚かなかった。
「じいちゃんっ!大丈夫ぅ…?」
そう訊くと、ゆっくりと目を動かし俺を見つめた。
「はぁーはぁーはぁー……お前…っ」
「え?なんて言ってんの?」
酸素マスクをしていて聞こえないじいちゃんの声。
その口に耳を近づけた。
「お前…はぁーはぁー…。なんで…ここに、いるんだ…?」
「なんでって…じいちゃんの為に来たのに?」
どうして、そんなことを訊いたんだろう?
じいちゃんの言葉にはびっくりした。
「や…くそくは…確かめて…きたんか?はぁーはぁー…」
「約束?きのう、言ってた約束?まだだけど…」
すごい。
手術して、始めの言葉が“約束”のことだなんて。