きいろい青空【完】



思い出した。


昔、ふたりで桜の木の下にタイムカプセルを埋めたことを。





「あ…った…」



掘って取り出したのは、ボロボロで土だらけの四角い缶。



俺は壊れそうなふたをそっと開けた。



この中に約束のヒントがあるかもしれない。


心臓が高鳴る。




しかし、中を見て首をかしげた。


あれ…。



中には花恋の物ばかり。



花恋の描いたチューリップの絵や、花恋の好きな写真とか…




「何か…ないのか…」



がさがさと探ってみる。



そして、俺の唯一入れたものを見つけた。




七夕のたんざく-----。



しわしわになってしまっている画用紙に、汚い字で。



でも、確かにちゃんと書いてあって。




『かれんとにじゅっさいになったら
おおきいおしろでちゅうできますように 

なおき』





「なに…してんだよ…っ俺は」



全部、全部。

全部思い出した。



桜の木の下…



ここで、約束を交わしたあの日のことを----









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