きいろい青空【完】
「今日は、連れ出してくれてサンキュウな。美久」
照れてしまったけどありがとう。
「沈んでないで遊びましょー計画☆成功?」
「大成功!!」
「やったぁ~!!」
喜んでくれている美久。
それを見てて、なんだかうちも嬉しくなってくる。
最初は行きたくなかったけど、行ってよかったと思う。
明るくなってすっきりしたのが分かる。
美久に、本当にありがとうだよ…。
「あ」
歩道橋の真ん中に来た時、気付いた。
「なに?どうしたの、止まっちゃって」
隣を歩く美久も立ち止まり訊いてきた。
「ほら。みんな、きいろ」
歩道橋のから見える街を指差した。
ビル、道路…見える景色がきいろだ。
「うわぁ~!キレぇぇ~」
美久は、歩道橋の手すりから身を乗り出して見ている。
「直輝…だぁ……」
そう小さく呟いたうち。
「えっ!?どこ?どこいるの?」
美久はキョロキョロして直輝を捜し始めた。
その姿に少し笑って答えた。
「違うよ。美久」
空を見上げた。
「夕陽って、直輝に似ていると思うんだよねぇ…ちっちゃい頃からそう思う」
「そうだね」
うちと美久は、手すりに寄りかかり空を眺めた。
「でもね。青空は…颯なんだよ…」
「うん…」
空を見る。
青空と夕陽の境目の空。
“きいろい青空”
だと思った…