きいろい青空【完】
「わからないよ…」
と声に出してしまった。
「なにが?自分の気持ち?」
と美久が答えをあっさりと言い当てる。
「…うん」
自分の気持ちが分からないんだ。
そんなこと、今まで一度も無かったのに…
いつでも自分の気持ちなんて“好き”のひとつだけで。
でも、今は“好き”も分からなくなっているんだ…。
「直輝のこと。好き…?」
美久のひとつの質問。
その答えは…
「わからない…」
「竜也くんのこと。好き?」
その答えも…
「わからない…」
付き合っているふたりなら、有り得ない答えだけど。
今は胸を張って堂々と『愛してる』なんて言えない。
「じゃあ、花恋はどうに思ったら“恋”だと思うの?どうに思ったら、この気持ちは“恋”だって気付くの?」
恋ってなんなのだろう…?
突然そう思った。
「もっと話したい。もっと近くにいたい…とか。でも、一番は“会いたい”…と思ったら----好き。」
「直輝のこと。本当にほんとぉーに好きじゃないの?」
「会いたいって思ったことないもん。だから、恋じゃない。でも…最近うち…変になってきてる…」
「なんでヘン?」
「好きじゃなのに。直輝のこと悪く言う奴は許せなくなるし。バスケの試合、無意識のうちに大声で叫んでいたし。なんか…体の真ん中がきゅーってなるし…マジ変!」
「それは…花恋さん。恋の症状の、嫉妬と胸キュンではないですかぁ?」
美久はニヤニヤしながら顔を近づけて来た。
それを払いのける。
「はぁぁぁ?そんなんじゃないもんっ!!」
「じゃあ~、中2の時の私がハグしてるのが分かってケンカになったときあったじゃん?あの時の気持ちはなんですか?」