きいろい青空【完】
「やっぱり…寂しいね」
とつぶやく。
廊下、教室…ここから見えるすべての景色を目に焼き付けておこうと思った。
一歩一歩大切に踏み、昇降口まで来た。
「いいの?出ちゃうよ?」
靴を履く前に訊いたママ。
「うん。いいの…」
ゆっくりゆっくり校舎の外に足を踏み入れた。
そして、くるっと回れ右をする。
…今なんの授業してるのかな?
購買のメロンパンもう一回食べたかったなぁ。
「これが…うちの学校」
そう自然と呟いていた。
たくさんの思い出が詰まっている学校。
今日が最後……なんだ。
学校に向かって小さく手を振る。
誰もいない下駄箱に。
「行こっか」
向き直り、うっすら目がうるうるしているママに言った。
「ママは先に行ってるね、花恋」
そして、ママはうちの前を歩き始めた。
我慢していたんだろうね…。
-----思った通りでした。
高校というものは、とてもとても楽しかったです…。
校門を出てまた振り返り、心の中で唱える。
「バイバイ…っ」
大好きな大好きな学校に向かって、そう呟いた。
もう…ここには戻ってこれない。
さようなら----
校舎に背を向けて、歩いていた。
その時…
「先生!なんとか、できませんかっ!?花恋の退学を…」
え?誰っ!?
そんな言葉が聞こえ、声のするほうを見た。