きいろい青空【完】
“約束”…!!
『大きくなったら、大っっきいお城でチューしよう』
直輝。
------思い出してくれたの?
「花恋は……この約束を。憶えて…る?」
でも、まだダメなんだよ…。
だめだから。
……ゴメンね、直輝。
「は?なにそれ」
震えている自分の声。
嘘をつくのって…こんなに難しいことなんだ。
ごめん!
ごめん…ごめんてばぁ……。
「え……?今、なんて…」
「そんな昔のこと。憶えているわけないじゃん」
からだの真ん中が、苦しくなる。
すごく痛い。
「これからデートなんだけど。手、離して」
「……っ」
わざと、冷たく言う。
これで手を離してくれると思った。
でも、直輝は小さくつぶやいた。
「や…だ…。」
そんなこと…言わないでよ…。
「行くから」
「ねぇ花恋…お願いだから。一生の…お願いだから…」
直輝は、つかんでいる手に力を込める。
どうしてそんなに必死なの?
帰ってくるから…。
直輝の“もと”へ------
「幼なじみになって下さい。俺の隣に帰ってきて下さい…。俺のそばにずっといて下さい。花恋のこと、忘れた事なんて無かった…頑張ったけど…出来なかった…花恋、俺は……っ」
「離し…て…」
うちは直輝の言葉をさえぎって、呟いた。
この4文字を言うのが辛かった。
『離して』
聞こえないほどの小さな声。
「お願いだから……手を…離し…て?」