きいろい青空【完】



「ん?」



翼はハテナだらけの顔。




「翼の好きな所行って、好きなことして、好きな物食べたり」



「お~!楽しそ~!!」




目がキラキラしている翼。


いいのかな?




-----『直輝の今日という一日を幸せにする』



遠い昔、花恋が俺にくれたプレゼント。



小学1年生くらいかな。


お金が無いから、これで許してほしーと言って


丸一日ふたりで出掛けた。




結局、俺が言うことに「それじゃあ花恋が嫌だ」



と言い花恋の好きな所、好きな事、好きな食べ物に

なってしまったのを覚えている。




「直輝?ねぇ直輝ってば」


急に名前を呼ばれハッとした。


花恋の思い出に浸ってしまっていた。




「あ、ごめん。好きな所は海、ですか?」



「お!よくわかったねー。さすがっ」



絶対、海だと思った。

ふたりの大切な場所だからね。











電車に乗ってやって来ました。



海!!!





「きれぇ~!」


一面に広がる海を目の前にして翼が叫んだ。


秋の海は、とても青かった。



砂浜に座った俺達。



やっぱり秋だから、来ている人は少なかった。




「あとは…好きなことと好きな食べ物」


「直輝。当ててよ」


「いーけど…。ハズレても許してね?」


「いーよ。直輝の選んだもので悪い物なんかないもん」



「うん……行って来ます」


「行ってらっしゃーい!」



手を大きく振られ見送られた。


俺は立ち上がり、海沿いに並んでいる海の家に向かった。



たくさんある中でひとつの店を選んで入る。




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