きいろい青空【完】
「俺はいいから、翼食べて?」
「だめ!はんぶんこなの」
翼は肉まんを半分にちぎって、乱暴に俺の手に置いた。
「いいよ。翼の誕生日なんだし」
「………」
眉間にシワを寄せ、しかめっ面で睨んできた。
「わかったよ。ありがと」
「んー」
ばくばく肉まんを食べている翼がとなり。
翼は多分…照れてる。
「ごちそーさまっ!ねぇ、花火やろ?」
肉まんを食べ終わって、立ち上がった翼。
「ちょっと待って。えっと、ライターライターっと…」
あと少しの肉まんを口に放って、袋の中から花火とライターを出す。
「はい。花火」
入っている花火を全部、取りやすいように並べた。
「うちは、これがいー」
翼はピンクの花火を手に取った。
「いくよ?」
持っている花火に火を付けた。
「わぁーー!!やばぁぁ~いっ。あはははー!」
翼は、花火を振り回しはしゃいでいる。
子供みたい…。
花火は、とても美しく光り輝いた。
一瞬で消えてしまう美しさ。
儚いからこそ綺麗なんだろう。
そんなことを見ながら思っていた…。
「直輝もやろーよ?」
「うん」
花火を一本持って立ち上がった。
花火の儚い火が、俺と翼を照らしていた------