きいろい青空【完】
「卒業したら…結婚したいんだもん」
翼は目をそらし、口をとがらせて言った。
結婚…。
その時の俺は、『うん』とは答えられなかった。
愛し合っているふたりなら簡単に言えるだろう…
でも…俺は…ごめんな。
--------“花恋が好きなんだ”。
もう、自分の気持ちには嘘をつかないと決めた。
「………」
「ごめんっ。今のは忘れて!んじゃ、そろそろ帰ろっか」
翼は慌ただしく立ち上がった。
俺もそれにつられて立ち上がる。
「直輝…キスして?」
「…いいよ」
翼は目をつぶった。
その顔に優しく唇を押し当てる。
ごめんな…。
いつか、翼に『別れて欲しい』…
そんな残酷な言葉を言わなくちゃいけない日が来るんだ。
この…右手の薬指で輝いているペアリングを外し…。