きいろい青空【完】
直輝*
「今帰ったよ、花恋。……本当によかったんか?」
じいちゃんが俺の部屋に入ってきた。
「…うん。」
わざと、俺はテレビの電源をONにした。
別に見もしないのに。
「なんであんなこと言ったんだ?…居留守だなんて」
「……っ」
さっき花恋が来た。
俺を探して…
でも、俺はじいちゃんに居留守をお願いした。
花恋が俺に会いに来てくれたんだぞ?
会いに…来てくれた。
なのに。
俺は会えなかった……。
「あーあ。今頃、探してんのかな…?」
壁に寄りかかり、溜め息を吐く。
その時、インターホンが鳴った。
「はいはい。今度は誰かな?」
じいちゃんが小走りで玄関へ向かった。
ひとりになり、思い返す…
どうして花恋に会うことが出来ないんだろう…
約束を覚えていないと知り、この世の終わりみたいに。
悲しんで怖くなって…
バカみたいだ。
それだけで、会うことができないなんて意気地なし。
俺最悪。
髪の毛をぐしゃぐしゃにかき乱す。
「直輝。ほれっ」
じいちゃんが戻ってきて、俺に何かを投げ渡した。