きいろい青空【完】
「…うん。……」
震えながらの声で返事をし、花恋は体を離した。
その目には涙が浮かんでいた。
あと1回瞬きしたら、零れてしまいそうで…
花恋は顔を近づける。
俺も近づけ…キスをしようとした。
が。
「待っ…て…!」
俺は顔を遠ざけてしまった。
俺は、またやってしまったと思った。
翼の時と同じ事を。
「ごめん…っ。えっとキスは…」
花恋の目を見られなくなり、必死に言葉を繋ぐ。
俺には翼がいる立場。
キスする瞬間、翼の笑顔が脳裏をよぎった…
「ねぇ…つーちゃんとまだ付き合ってんの?」
花恋が真っ直ぐ目を見て訊いてくる。
まるで吸い込まれてしまいそうな大きな目。
こんな状況で見つめられると
息がしづらい。
「う、うん…」
「じゃあ、ここで待ってて?絶対に動かないでよ!!」
トンっと俺の肩を叩いた花恋。
「は?どうして?」
「いいから、いいからっ!」
笑顔な花恋。
花恋の言っていることが分からない。
そう言い残して、花恋は俺に背を向け走って行ってしまった。
愛しい背中はだんだん小さくなって…
え……どこ行っちゃうの?