きいろい青空【完】
「んじぁ、5円と1円入れるよぉ〜!」
うちは、直輝に空の手のひらを差し出した。
ハテナの顔をしている直輝。
でも、そのうちひらめいたらしく声を上げた。
「あっ、お金か。…ちょっと待ってね」
ポケットの中から財布を取り、覗き込んで小銭を探す。
直輝から空の手のひらの中に、5円玉と1円玉が落とされた。
「ナイスっ!よくわかったじゃん」
「ま〜ねっ。でも、いつも俺にお金頼りっぱなし〜」
「ごめんね〜。あはは」
直輝はうちのことは、全部わかるんだ。
思っていたことも、考えていたことも。
それが…うちを笑顔にさせるんだよ。
うちと直輝は立ち上がり、お賽銭箱の前に立った。
お金を投げ入れる。
パンパンッ!
手を叩き、目をつむった。
「直輝と一緒にいれますように」
「花恋と一緒にいれますように」
ふたりは目を合わせた。
そして、叫んだ。
「ハモったぁぁーー!!!」
なんか、すごいな。
うちと直輝の愛の力!
同じところで、同じとき、同じことを願う。
奇跡が当たり前になるかのように…
また、ふたりは笑い合うんだ。
「ま〜。神様にお願いしなくても、ずっと一緒だけどね?」
「俺も思ったし、それ」
ほら。
また、同じことを思ってる。