きいろい青空【完】
みんなの祝福の言葉が胸に響く。
「直輝には内緒だよ?」
少し小声になった美久。
「うん。なになに?」
「あのね、前に直輝に『どうしたら花恋は幸せになるだろう?』って聞かれたことがあったの。で、私は約束を思い出してって言ったの」
「うん」
直輝が美久にそんな質問をしていただなんて…
なんか変に…照れる……。
「小学校の時から、飽きるほど私は聞かされてたからさ。ずっと覚えていたんだよ。約束のこと。でも花恋は英斗に恋してから言わなくなったよね」
うちは毎日毎日、美久に自慢していた。
『大きくなったらね、直輝と結婚するんだぁーっ!』
って。
でも、これは小学5年でぱったり言わなくなった。
直輝本人が覚えてないってわかったからね。
「私は直輝に、約束を思い出せたら花恋は幸せになれるよって伝えたんだ。だってね、こういう運命になるって予想してたからね!」
「こういう運命って…?」
「ふたりは結ばれる運命ってこと。花恋が幸せになれる方法は、直輝と結ばれて直輝が幸せにしてあげることだろうって思ったの。だから、約束を思いだせって言ったんだぁ~」
美久が直輝に『約束を思い出して』と言っていなかったら…
直輝と結ばれていなかった。
美久と英斗がいてくれたおかげで…
今。
直輝といられるんだ。
本当に本当に感謝している。
こんな近くに、運命の人がいるなんて見つけられなかった。
近すぎて見えなかったんだ。
直輝への気持ちが恋だなんて気付かなかった。
近すぎて気付かなかったんだ。
でも、大切な人ほど近くにいるんだよ。
そう教えてくれた英斗と美久に“ありがとう”。
「ずっと私は、花恋は直輝が好きなのに気付けていないだけだろうってことも、わかっていたしね」
一生分の“ありがとう”を込めて。
「美久。…ありがとう。」