きいろい青空【完】
「たいしたことはしてないってば。明日で約束が叶うんだね!本当におめでとうしかないよっ!」
「うちは、ありがとうしかないよ」
「うん。じゃあ、また明日会おうね。あ、英斗が直輝に変わってほしいって。花恋、またね!」
「うん。また明日ね!」
別れの言葉を告げ、ケータイを直輝に渡した。
英斗と美久はというと…
高校3年の春に、英斗が美久に告白をして、ふたりは恋人同士に!
今は同棲生活をしながら、ふたりで同じ大学に通っている。
とっても幸せそうだ。
今のうちの夢…。
うちのパパとママと、直輝のお父さんとお母さんのように。
幼なじみ同士で結婚して、隣に家建てて。
生まれて来てくれる子供たちを幼なじみにすること…
----4人で叶えたい。
「じゃあ帰るか」
直輝が英斗との会話が終わったらしく、ケータイをポケットにしまった。
「うん。てか、ヤバイっ!明日じゃん!緊張してきた~」
人生でたった1度きりのことだもん。
直輝と絶対に離れないから、この結婚式がうちの人生で1度きりのこと。
もう結婚式なんてしない。
「大丈夫だよ。本番になると、俺のほうがヤバイから」
「あはは、確かに。直輝は本番に弱いからね~。あ、思ったけど…なんで直輝はうちを迎えにきたの?」
「あ!忘れてた!北海道からトモおじさんが来てくれたんだよ」
トモおじさんとは、北海道に住んでいるうちの親戚のおじさん。
直輝とも仲良かった。
「明日のお祝いに来てくれたんだって」
「そうなんだぁ!みんなが、おめでとうって言ってくれるのが嬉しいね!」
「うん!!じゃあ、帰ろっか」
ふたりで歩き出す。
ふと、後ろを振り返り、神社を見つめた。