きいろい青空【完】
「えーー!!それで、OKしてほしいって言っちゃったの?」
その日の夕方、公園でまた美久に相談中。
ブランコに座って、今日の颯さんとの出来事を話した。
「…うん。言った」
「びっくり…じゃあ、花恋と付き合うんだね。てか、いいの?颯さんに花恋取られて」
ゆっくりとブランコをこぎ始める俺。
「それ、颯さんにも言われたぁ。でもさ、そんなこと言われてもしょうがないじゃん?」
「花恋のこと、好きじゃないの?」
「好きだからこうしたんだよ。花恋の幸せを1番に考えたら、こうするしかないじゃん」
「でも、好きならギュウしたいとか、チュウしたいとか思っちゃうもんじゃない?そしたら、逆に颯さんになんか取られたくないって思わなくっちゃ」
「ただ単に、好きでいるだけって決めたんよ…だから」
「ねぇ、直輝。そんなにカッコつけなくてよくない?本当は、嫉妬とかして颯さんに取られたくないって少しでも思ったんでしょ?」
美久は優しく俺に問いかける。
「……うん」
本当は、嫉妬どころじゃない。
颯さんなんかに取られたくないに決まってる。
花恋は誰にも渡したくない。
「それでいいんじゃん?素直な気持ちで」
「…。」
“素直”
本当は、絶対に
渡したくなかった…
花恋は、他の男を愛すんだ…
そう思ったとたんに、目から涙が溢れる。
「……ゴメン、美久。こっち見ないで」
美久から顔をそむけた。
次の瞬間---
…え?
美久の小さな腕が覆いかぶさったのがわかった。
美久に抱きしめられた?
「美久?ど、どうしたの?」
動揺している俺。
「泣いていいよ。特別にこうしててあげるから」
美久の優しい言葉が安心させる。
「…」
ごめん、みんな。
今日だけは俺を許して…
美久の腕のなかで、声を上げて泣いた。