きいろい青空【完】
「悪ぃ悪ぃ。でもお前さ、キスさせたわけだろ?それって少しでも心許してんじゃん」
「…」
「俺が好きでもねぇ女にキスされそうになったらぶん殴ってでも、止めっけど」
英斗の美久に対しての気持ちはいつも真っすぐだ。
それが羨ましかったりもする。
「いきなりすぎて無理だったんだよ」
「無理ばっか言ってんじゃねーよ。花恋のためなら、無理なことも無理じゃなくなるって思わねぇ?」
「俺は…ちがう。俺は、花恋を…」
上手く伝わらない。
「なんだよ?何が言いてんだよ?」
「花恋を忘れたいんだよ!!」
あ、何言ってんだ…
勝手に気持ちをぶつけてしまった。
「はぁぁ?なんで、好きじゃなくなったの?」
顔をそむけた俺の顔を覗き込んでくる英斗。
「え、いや。さっきのは…」
「無意識に本音出しちゃったんだなぁ~。じゃあ、いいじゃん。花恋を忘れたいんだったら翼と付き合えば?」
英斗はさらっとそんなことを言う。
でも、そんなことを俺が出来るわけがない。
軽い恋とか、遊びの恋とか、中途半端なことは嫌だ。
「だめだよ、好きじゃないんだから」
「お前なぁ~、人を利用しちゃえよ。つか、キスしちゃたんだから普通な関係でいるのも逆にムズくね?」