きいろい青空【完】
「そりゃーまぁ…殴りたかったけど」
言いずらそうに話す。
「じゃあ、殴ればいいじゃん!」
「んな事できねぇーよ」
「どうして?」
「抱きついたことは、美久が自分でやったことだろ?だから、直輝を責めることはできねぇじゃん。あと、直輝は大切なダチだかんな」
「そんな、きれい事…」
なにが大切なダチだよ!?
殴りたいって思ったのに??
英斗は、気が良すぎるんだよ。
「じゃあ、花恋はなんだよ?男いるくせに、直輝が抱きついたら美久とケンカ?あっ、直輝が好きだから仕方ねぇことか」
「はぁぁ?うちは颯が好きなのっ!わかる!?」
なんで、そうなるの?
うちが好きなのは颯だけ。
直輝なんか、全然好きじゃないのに!!
「じゃあ、美久に謝ってこい。仲直りしろ」
「………」
「今度の東京見学、4人で行きてぇーじゃん!また4人で、笑って思い出つくっていきてぇーじゃん。な?」
さっきとは、反対に優しい口調で話す英斗。
すんごい笑顔でピースして。
「…ぅん、行く」
小さく答えた。
「よし、行って来い!!」
英斗の明るい声で送り出されたうちは、美久を探しに廊下を走り出した。
うちって、英斗の笑顔に弱い気がする…
そんなことを考えながら。
直輝が抱きついても、関係ない。
さっき、つーちゃんとキスしてたのも関係ない。
直輝が何をしようと、うちには関係のないことだ。
だから…
直輝に“おめでとう”を言おう。