きいろい青空【完】
「あ、英斗知ってる?直輝に彼女」
と、美久。
「知ってる!翼だろ?」
コイツも大声で名前暴露しちゃってるし…
「なんだぁ~、英斗知ってたの?つまんなーい」
と、うちが言った。
そして、いかにもつまんなそうにぺたぺたと歩く。
「なんだよ。つまんないとか。ひどくね?つーか、伝言。手洗っとけだとよ」
は?
いきなり話変わったね…
「誰?直輝から?」
「おー、よくわかったな。さっすが」
手を見たら、泥だらけになっている。
全然気付かなかった。
それほど夢中になって、探してたのかな…?
「花恋」
て、英斗が大きく名前を呼んだ。
そしたら急に、耳に顔を近づけて小声でこう言った。
「よく、がんばったな」
そして、あの英斗の笑顔を見せ頭をポンポンと軽く叩いた。
「だろ?」
また、顔がくしゃくしゃになるほどの笑顔で言う英斗。
「花恋は、笑って直輝を送り出してやったんだろ?彼女できて祝福してやったんだろ?だから、よく頑張ったなって」
「別に。頑張ってないし」
口をとがらせて言った。
意地張らないと、涙出そう…
「素直じゃねぇーなー」
と言いながら、英斗は下駄箱で靴を履き替えた。