きいろい青空【完】
キレてくれるって期待した自分が恥ずかしい…
「ごめんね。つーちゃん」
「誰に?」
颯が強い目で訊いてきた。
「え?」
「誰にやられたんだよ!?」
ちょっと怒鳴り口調で言う颯に、少しびっくりする。
「えっとー…同じクラスの中澤健太郎」
颯は名前を聞くと走り出そうとした。
しかし、つーちゃんが颯の腕をつかんだ。
「なんだよ!?離せっ!!」
「殴るんじゃねー!」
「そんな事言ってる場合じゃねぇーだろ!?いいから、離せよ!!」
「だめだよ、颯」
うちも説得しようとする。
「花恋もかよ」
そう吐き捨て、つーちゃんの手を振り払い走って行ってしまった。
「あ、待ってよ!!」
必死に追いかける。
でも…あれ…?
行き先が2年の教室ではない。
通り過ぎてしまった。
じゃあ、どこ行くの??
「颯!!」
廊下にいる生徒が邪魔で颯を見失ってしまった。
立ち止まるうち…。
どこに行ったの?
その時!
「みんな、聞け!」
って、颯の声じゃん。
…は?どこから??
えっとぉ…え?
放送!!?
うちは、急いで放送室に走った。
本気かいっ!!
「花恋に手出すんじゃねぇーー!!今度、出した奴はマジでぶっ殺す!以上」
「颯…!」
放送室に行ったら、本当に颯がいた。
マイクに向かっていた。
「なに…やっちゃってんの…?」
「俺、かっけーだろ!?」
笑ってピースを見せる颯。
「かっこ良すぎ…だよ」
静かにうちは颯に抱きついた。
颯の胸に顔を埋める。
「だろ?そう言うと思った」