69
「だから、さ。桜……」
僕は、ただ。
寒そうな、桜を暖めたいだけの、自分のココロの内を伝えようと、身乗り出せば。
桜は、反射的に身を引いて……それからゆっくり立ち上がり……僕に近づくと。
今にも泣きそうな顔をして……笑った。
「いいわ……そんなにシたいなら、させて、あげる」
「……桜」
違うんだ、と続けたかった僕の声は。
桜のくちづけに奪われた。
「黙って……シン」
桜は言って、僕にキスをしたまま、自分の服を自分で脱いだ。
「わたし、本当は……ここに……死にに……来たの」
「え?」
「黙って。
だから、わたしのカラダ……あなたの好きにして、良いから。
もし、あの川岸でシンに出会わなかったら。
そして、今、この山小屋の中で……雪の中に閉じ込められてなかったら……
わたしは、もう、とっくに、死んで……たの」
「桜……なんで」
そんなことを、言うんだ。
良くは、判らないけれど自ら死を選ぶなんて……それは。
生きているモノが、一番恐ろしい、と思っているコトなんじゃないのだろうか?
更にか細く感じる桜に触れながら、驚き、戸惑っている僕に、彼女は、いっそ、淡々と話を紡ぐ。
「わたしの好きだったヒト……同じ山岳警備隊にいたんだけれど。
ここで救助活動中に、自分が遭難して……帰らないの……二重遭難って言うやつね」
以来、桜は、必死に彼を探してた。
捜査本部が解散しても、なお、そいつの手がかりを探すべく。
捜索者が自分、たった一人になっても、頑張ったけれど。
事故から三年が経過てもなお。
遺体さえも上がらず、休日も探してる生活に疲れ切ってしまったらしい。
「……」
真実を知って、言葉の出ない僕に、桜は改めて口づけた。
「わたしには、もう、いらないカラダだから……シンに、あげる……」
そう言って、桜は、全ての服を脱ぎ、生まれたままの姿になると。
キスをやめて、今まで、僕の寝ていたベッドにもぐりこんだ。
「来て、シン。
わたしを、抱いて……暖めて……」
僕は、ただ。
寒そうな、桜を暖めたいだけの、自分のココロの内を伝えようと、身乗り出せば。
桜は、反射的に身を引いて……それからゆっくり立ち上がり……僕に近づくと。
今にも泣きそうな顔をして……笑った。
「いいわ……そんなにシたいなら、させて、あげる」
「……桜」
違うんだ、と続けたかった僕の声は。
桜のくちづけに奪われた。
「黙って……シン」
桜は言って、僕にキスをしたまま、自分の服を自分で脱いだ。
「わたし、本当は……ここに……死にに……来たの」
「え?」
「黙って。
だから、わたしのカラダ……あなたの好きにして、良いから。
もし、あの川岸でシンに出会わなかったら。
そして、今、この山小屋の中で……雪の中に閉じ込められてなかったら……
わたしは、もう、とっくに、死んで……たの」
「桜……なんで」
そんなことを、言うんだ。
良くは、判らないけれど自ら死を選ぶなんて……それは。
生きているモノが、一番恐ろしい、と思っているコトなんじゃないのだろうか?
更にか細く感じる桜に触れながら、驚き、戸惑っている僕に、彼女は、いっそ、淡々と話を紡ぐ。
「わたしの好きだったヒト……同じ山岳警備隊にいたんだけれど。
ここで救助活動中に、自分が遭難して……帰らないの……二重遭難って言うやつね」
以来、桜は、必死に彼を探してた。
捜査本部が解散しても、なお、そいつの手がかりを探すべく。
捜索者が自分、たった一人になっても、頑張ったけれど。
事故から三年が経過てもなお。
遺体さえも上がらず、休日も探してる生活に疲れ切ってしまったらしい。
「……」
真実を知って、言葉の出ない僕に、桜は改めて口づけた。
「わたしには、もう、いらないカラダだから……シンに、あげる……」
そう言って、桜は、全ての服を脱ぎ、生まれたままの姿になると。
キスをやめて、今まで、僕の寝ていたベッドにもぐりこんだ。
「来て、シン。
わたしを、抱いて……暖めて……」