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~桜咲く季節に~
「良いですか!?
セブンティ!!
これは、一種の降格処分なんですよ!?
そこら辺の自覚をしっかり持って!
新しい場所では、是非、謙虚な行動を心がけてくださいね!」
「武蔵川、ウザ!」
「う……ウザって、あなた、一体どこから、そんな言葉を……!」
不機嫌な声に、頬杖をついたまま見上げれば。
見慣れた教育係りの武蔵川が、目を三角にして、怒ってた。
あ~~あ。
世の中は、春だってゆ~~のに。
不機嫌で、イラついた人間は、花粉症を患っているミナサマだけにして欲しいよなぁ。
オイラは、長々とため息をつくと、言った。
「武蔵川みたいに、体格に縦横幅があってさぁ~~。
今の状況みてぇに、新しい実習現場に向かうヘリの。
狭めぇ、搭乗スペースを減らした挙げ句。
クソ細けぇ事ばかり、ガミガミ言うヤツのことを『ウザい』って言うんじゃなかったっけ?」
「セブンティ!」
「そ~~怒鳴らなくても、新しい場所では、ちゃんとやるってぇ~~」
「本当ですか?
今度こそ、ウソじゃないですよね?」
完っ璧に、オイラは、武蔵川の信用を無くしているらしい。
ど~~やら、初めて街で自由行動を許されたその日に。
髪をオレンジ色に染め、耳や鼻ピアスをつけて来たのが気に食わなかったらしい。
けどなぁ~~ 黒髪っていかにも、イケてない上。
キラキラのピアスが、すっげーキレイだったんだぜ?
コレは、身に付けなきゃ、ウソっしょ?
……って、色々やって、ほくほくと、前の実習場所の寮に帰ったら。
自衛隊、諜報部の服装規定に、反するんだそ~~だ。
前から、オイラのことを『男性型』アンドロイドだと認識しねえ、セクハラ教官に、お気に入りの鼻ピを取られかけ。
日頃の恨みを込めて、反撃したら。
ナゼか、オイラだけが、悪いコトになったんだ。
なに、諜報実習で写したのをばらまいただけだぜ。
……ちょっと恥ずかしい教官の写真だったけどな。
あははは♪