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ああ……オリヱ。
僕の、愛しい、ひと。
彼女の火照り、うっとりとした、色っぽい表情を見ていると。
僕に灯った熱が、煽られる。
……オリヱを、抱きたい。
そんな、切なる願いは、虚しく。
憎い九谷に、遮られ。
泣きたいのに、涙の出ない瞳を見開き。
二人をずっとみつめているしかない僕を、九谷は勝ち誇って眺めた。
オリヱに、隣の職員用ロッカーから、私服と、コートを取って来させて、九谷は僕を蔑み、憎々しげに言った。
「けっ!
こんな機械に愛しいオリヱをやれるか、莫迦。
オリヱが作った機械じゃなければ、ばらばらにしてやったのに……!
聞こえるか? シックス・ナイン。
オリヱは『オレのモノ』だ!
お前がちょっぴりだけ火照らせたオリヱのカラダは。
オレが責任を持って鎮めてヤる。
機械は機械らしく。
クリスマスは、一人でおとなしく玩具箱で眠ってろ!」
げらげらげら………!
一体、何に笑っているのか。
半分ヒステリックにも聞こえる、九谷の嘲笑を聞きながら。
僕は、悔しくて……悲しくて。
オリヱを求めて、煮えそうに火照るカラダをもてあまし、悶えていた。