愛コトバ
あたしはそのクッションを手にとった。
パステルピンクに白いドットがついたかわいいクッション。
なぜか、苛々する。
「これ、彼女の?」
少し嫌味を言うように言ってしまった。
なんでだろ。
すごい、後悔した。
いつも、こんなこと、こういう風に冷たく、嫌味ったらしく……接してるのが普通なのに。
なんか、嫌な感じ。
美岬は、彼女いてもおかしくないのに。
「彼女いないよ。俺」
「え、なんで…じゃあ、これっ……」
元カノの?
まだ好きなの?
そんな言葉が脳内を巡る。
「違うよ…女よけ」
「えっ…」
女よけ?
意味がわからずに美岬を見ていると、美岬は再び口を開く。
「よくさ、押し掛けてくるんだよね…迷惑だから、それを彼女のものって言って追い出すの」
なるほど…。
そんなんじゃなかったんだということがわかった瞬間、なぜか安心した。
胸が和らいだんだ。
今日のあたし……なんか変…。