愛コトバ
あたしは今日、学校にきて最悪の気分になる。
「……はっ?」
「おはよ、ミヤビちゃん♪」
目の前にいるのは桐谷純。
なんでこいつがこんなとこにいるわけ?
そしてあたしを掴んで離さない。
「ごめん、離してくれない?」
にっこりした偽物スマイルを桐谷純にむける。
桐谷純は「なんで?」って笑顔で返してきた。
その笑顔には余裕があって、かなりむかついた。
早く離せって言ってんの。
「なんで?」なんてあたしに可愛く言っても無駄だっつーの。
もうなに?
ストーカーで訴えてやろうか。
苛々をおさえつつあたしは桐谷純と取り合う。
「あのさ、勝手に人の高校来といて待ち伏せしてなに?迷惑なんだけど…」
本当にやだ、こいつ。
もう偽りのあたしなんてどうでもいいや。
こういうくどいのにはビシッと言っておかなきゃいけないのよ。
「あたし、親友に頼まれて代わりに来ただけなの!正直男なんて嫌いだし、絡んでほしくないわけ…」
苛々がどんどん抑えられなくなってく自分。
「そんなの見てたらわかるよ?」
なのにこいつは、あたしの言葉をわかりきったように言い返す。