愛コトバ
「ねぇ!ミヤビ…、もう一輝くんのことは…」
「わかったから!もうそのことは言わないで」
本当に苛々した。
もう忘れたんだよ、そのことは。
口に出さないで。
あたしは、詩織の言葉を遮って強く言った。
詩織は黙って自分の席に戻っていった。
あたしも自分の席についた。
桐谷純のことは、もう仕方ない。
教えたものはもうどうしようもないんだから。
悪いやつじゃないってなんとなくわかる。
あんな真っ直ぐぶつかってきたんだ。
でも、その詩織のお節介がむかついた。
あたしにはあたしの考えがあるんだ。
詩織も心配だってわかってる。
詩織の優しさだってわかる。
でも、男なんてもうあたしにはいらないんだ。
あたしは一人でやってける。
男なんて、所詮みんなあいつみたいになるんだよ。
あいつだって、最初っからあんな風なわけじゃなかった。
でも、結局は裏切られて身も心も傷ついて終わった。
自分も失いかけた。
そんな風になるくらいなら、あたしは恋愛なんてしないで、男なんて作らないで生きていく。