愛コトバ

「隣座るねー」


そう言って許可もなく座る。




あー…やだなぁ。



だから来たくなかったんだよ。



詩織のやつめぇーっ。



本当はあたしの代わりにいるはずだった親友をうらむ。



あたしが男嫌いって知ってるくせに。



そう思いつつも、親友の頼みが断りきれなかった自分も同時にうらむ。



「ミヤビちゃん、赤外線で交換してよ」



ニコッという効果音がピッタリな極上スマイルであたしに言ってくる。



おまえはその作り笑顔で何人の女を騙してきたんだ。


そう問いつめたくなるくらいやつの笑顔は絵になった。



「ごめん、あたしケータイ今ないんだー…忘れちゃってさ」



だが、あたしはそんな簡単に堕ちねぇぞ。



甘かったなと言うように、ペラペラと嘘を並べる。



だけど、嘘なんてバレるのが落ち。



あたしのケータイはタイミング悪く、今鳴り出した。


どうか気づきませんよーに。



周りの音にかき消されて、聞こえませんよーに!



「あれ?ミヤビちゃんのスクバから音楽なってない?」



あたしの願いもむなしく、あっさりと気づかれてしまう。



そうかな?なんて言いながら誤魔化す。



こんなやつに個人情報を教えてたまるか。

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