愛コトバ
「なんであからさまに嫌そうな顔すんのー?」
梨紗ちゃんが不思議そうにあたしを見る。
梨紗ちゃんからしたら、あたしはもったいないことしてるかもしれない。
だけど、それは梨紗ちゃんの意見であってあたしとは違う。
なにも答えずにいるとケータイが鳴った。
梨紗ちゃんは再びケータイを取ると、中身を見てまた素早く返信を打っていく。
あたしの止める隙もないくらいの早業。
梨紗ちゃんから渡されたケータイには、またうつる“送信完了しました”の文字。
正直イラッとした……けど、そこまで怒るってほどまでいかなかった。
例えあたしが返信しなくても、あっちが何回もメールを送ってきて、そのしつこさにきっと返信をしたと思うから。
メールくらいはどうってことない。
今から弁解するのも面倒だし。
「ねぇミヤビ、土曜日空いてる?」
突然の問いにあたしは素直に答える。
「別に予定はないけど?」
「じゃあさ朝10時に噴水公園来てね!」
「あ、わかった〜」
梨紗ちゃんからの誘いを迷わずに受け止めた。
断ることもなかったから。