愛コトバ
桐谷純は、まるで子供みたいに目を輝かせていろんなアトラクションに次々とのる。
繋いだ手は離されずにそのまま……。
あたしもなぜか振りほどくことができなくて。
こんなのあたしじゃないと思いつつ、結局なにもできないで流されてる。
美岬とは全然違うのに、むしろ正反対なのに。
あたしは、なんで……離せないの?
繋がれたままの手から伝わる体温が温かかった。
「ねぇねぇ!観覧車乗ろうよ?」
日が暮れてきて遊園地のイルミネーションがついてる。
観覧車は華やかにピカピカと光っていて…。
桐谷純は手を引っ張って長い列へと入っていった。
「ちょっと!まるでカップルみたいに思われるじゃない!本当に…もぅ……」
無邪気にはしゃぐこいつを、あたしはだんだん可愛く思えてきてしまう。
これは母性本能というものなのか。
あ、そうか。
今、わかった。
なんでこいつの手を振りほどけないのか。
きっとそれは、こいつがこんなにも無邪気な子供みたいで目が離せないからだ……。
じゃあ美岬も…美岬もきっと……。
母性本能から……だよ…。