愛コトバ
戸惑い
帰ってすぐにベッドに倒れこめば、ばふっと音をたてた。
何度他のことを考えようとしても、頭の中を巡るのは桐谷純とのキスシーン。
壊れたように同じ場面を繰り返し再生するんだ。
まだほのかに残る唇の感触は、少し温もりを持っていて……キスしたことを物語る。
あぁ……どうしちゃったんだろ、あたし。
「はぁー……」
思わず出た溜め息は、自分でも驚くくらいに深かった。
途中まで普通に馴染んでた、楽しんでた自分にびっくりだ。
そして情けなく思う。
あたしは……男なんていらないんだよ…。
再確認をするように心で思っても、まだ頭の中ではキスシーンが流れている。
矛盾してる。
あたしは今、どうすればいいんだろう?
目をつぶっても浮かぶのはあの場面で、眠ることさえままならなくて……。
あたしはどうしたらいいの?
疑問を問いかけたって、答えは戻ってくるはずはなくて。
空を切るあたしの疑問。
なにをしたらいいかもわからない混乱した状態で、残りの時間を過ごした。
大好きなドラマも頭に入らないほどに、ボーッとしていた。