愛コトバ
「行こっ…」
あたしの返事など聞いてもいないのに勝手に手を握って歩いてく。
有無を言わせないその雰囲気に、反抗できない。
なにやってんだあたし。
あたしは他の女とは違うんだ。
いつもみたいに冷たく……冷たくしなきゃ。
頭ではそう思っているのに、行動にうつせない。
この美岬と言う存在は、なんでこんなにもあたしのペースを狂わせるんだろう。
逆らえない瞳で見つめて、強引に…。
あたしに抗うすべはないのかよ…。
握った手から伝わる美岬の体温。
普段なら手を振りほどくのに。
なんで?
なんで、こいつの手は振りほどけないの…?
やだ。
一番嫌いだ、こんなやつ。
あたしがあたしじゃなくなる。
「星、ないよね」
「えっ…あ、うん」
急に話しかけるな。
…でも、あたしもさっき同じこと考えてた。
さみしそうに空を見ている美岬。
そんな顔するなよ。
「…美岬は……星好きなの?」
自分でこんな質問するなんて…なにやってんの。