愛コトバ
「……なんで?」
なんでって…、あんたがそんな目するからじゃん。
なんなの?こいつ。
「好き…」
「えっ……?」
美岬がいきなり発した言葉。
あたしが、なにも応えなかったから?
「そっか…」
「あぁ。………でも、ここは全然見えない」
ぼそっと、消え入りそうな声で呟いた一言が、あたしに浸透していくように…あたしの中に残る。
「今度見に行かない?…星」
チラッと横目で見る美岬は、口元を緩めてさっきよりは大きく「あぁ」と返事をした。
気づけば同じ歩幅で隣を歩いていた。
もうのみこまれてた、美岬のペースに。
「……ずっと歩いてるけど…どこ行くの?」
ふいに投げ掛けた質問。
「別に、どこか行きたいとこ……ある?」
あたしの質問は、切り返されあたしに回る。
行きたいところ…かぁ。
「プラネタリウム」
なんとなく言ってみた場所。
この時間なら、もう閉まってて普通。
「じゃあ行こっか」
「ちょっ…閉まってるでしょ!」
あたしの言ったことなんて無視して、すたすたと引っ張るように歩いてく。