誰よりも、君がすき。
だって
だって。
なんでか分かんない。
なんでか分かんないんだけど
芹沢と新川さんのあの日、
音楽室での光景が急に
頭によぎったんだもん。
激しくて
吸い付くような、
そんなキス。
知りたくない。
私はキスなんて知りたくないよ。
「ご、ごめん。違うの。
嫌、とかじゃないから。」
「わかってる。俺もいきなり
だったし。」
とはいってるものの
ほんとはすごい落ち込んでるように
見える。
「きょ、今日はわざわざ心配して
きてくれてありがとう。私、途中
まで送ってくよ」
「ありがと。でも大丈夫。今日
友達の家、泊まるんだ」
「そうなんだ。それじゃあまた。」
そういってひらひらと手を振る。
「待つから」
「りかこがはじめてが俺でいい
って思えるようになるの待つからね」
私は頷くことができなくて
逃げるように家に戻ったんだ。