誰よりも、君がすき。
「「あけまして、おめでとうございます」」

大晦日
12時ちょうどに声を
そろえる浅野家。

「ねー、俺の年越しそばまだ?」

「ん。これ味薄くないか?」


今年の第一声という記念すべき
言葉を

年越しそばへの不満を
口にした弟の卓巳と父に私は
あきれ返っていた。


「卓巳はちょっと待ってなさい。
お父さんも…ちゃんとまぜないと
薄いにきまってるじゃない」

「おーそうか…」


新しいそばのパックをあけ、
熱々の鍋に放り込む。

「…てか、年越しそばって
としこす前に食べなきゃいけない
んじゃないの?」


「はー?もうダメじゃん」

「あーあ。誰かさんが遅いせいで」


ほっぺたを膨らませて私を
横目でにらみつける卓巳。

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