誰よりも、君がすき。
「浅野?」

この声って...

もしかして。

振り向くとやっぱり予想通りの
顔がそこにはあって。

「き、奇遇だね。芹沢くん」

「何やってんの?」

「あー...これ?」

芹沢の視線に気付き、
私は手に持っていたポチ袋
を顔の高さまであげてみせた。

「明日従姉妹が来るから
お年玉、あげるんだって。お母さんが」

「ここから近いの?
浅野の家」


なんだか二人とも
話し方が妙によそよそしくて。


何よりさっきからずっと
芹沢は目線を反らせたままだった。


「まあね。芹沢くんは?」

「いや、俺は…」


はっと気がつく。

確か智子の家もこの近くだったん
だっけ。

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