Out-of-Eden―禁断の果実―
急いで食パンを片手で持ってきた私に目を細めていた。




恥ずかしいな…。




「あっあの…朝ご飯、食べてないかと思って」

「どうしてわかった」




いつものぶっきらぼうな声で言った。




「なんとなく…」



ちょっとだけ、カッコつけてみたくてそう言ってしまった。




ジャムとか持ってくれば良かったかな。




「ありがとな…林檎」




また名前を呼んでくれた。



「あの…私は」




――本当は林檎じゃないです。



言ってしまいそうになった。


「あの…どうして名前を」



柊斗さんには言ってない…。


私の名前を言ったことがない。



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