Out-of-Eden―禁断の果実―
無事手術が成功して、もう一度担当医に頭を下げた。
この病院はいろいろお世話になっていて、一度も頭を下げなかった俺だったから看護婦たちにも周りの人たちにも驚かれた。
「ありがとうございました」
「はい…ですが…」
「はい」
「過度のストレスで…記憶をなくされているようです」
「記憶…」
「よほどのストレスのようで爆発したのでしょう」
嫌な予感がした。
「記憶は戻らないに近いです」
「どれくらい忘れているんですか」
「重要なところ以外全部、でしょうね」
「と、いうと」
「家族も友人関係もすべてです。ゼロに近いですね」
これ以上聞きたくなくて
病棟の部屋へ向かった。