もう一度、ここから…【LOVEドロップス企画参加作品】
「オレさ、あの日……杏から別れようって言われると思ってなかったからずっと吹っ切れずにいたんだ。
別れた直後はすげー悔しくてさ。
でも、自然に杏のことを忘れられるまで待とうって思った。
それだけ杏のことが好きだったからさ」
健太の笑顔が心を軽くする。
わたしの一言がどれだけ健太を苦しめたか分かるから。
わたしも辛かったけど、健太のほうが何十倍と辛かったのは分かるから……。
「だから、もし次、杏に会えたら、その時の気持ちを尊重しようと思った。
そのときの杏を見て自分の気持ちを見ようって」
わたしを見つめる健太に言葉が出ない。
今の健太の気持ちは?
そう聞きたいけど……
怖くて聞けない。