《完》螺旋 ―*RASEN*― 〜禁断の迷路〜
お兄ちゃんが、そこに立ってた。




「……見たのかい、紗耶?」




感情のない白い顔が、
ジッとあたしを見下ろしてる。




「……………っ!!」




声は出せなかった。




ただ、涙でグシャグシャに
なった顔で、お兄ちゃんを
見返すだけ。




「そんなに泣いて。

僕が他の女を抱いてるのが
それほど悲しかったのか?」




「―――――!!」




悲しい?




自分でもわからない。




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