《完》螺旋 ―*RASEN*― 〜禁断の迷路〜
何も言わなくても、きっと
お兄ちゃんは敏感に
気づいたんだ。




あたしがお兄ちゃんを
忘れてホッと息をつける
場所を見つけ、そこに
浸ってることに。




珪との空間に、つかの間の
自由を感じてることに。




そしてお兄ちゃんは、
それを許さないって。




それをあたしにわからせる
ために、あんなことを――。





「あっ………」




強い風が吹いてシャツの
襟がはだけたのを感じて、
あたしはあわてて襟を
直すと、開けてた第一
ボタンもしっかりとめた。



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