《完》螺旋 ―*RASEN*― 〜禁断の迷路〜
「………………!!!」




声も出せないまま、
あたしは渾身の力で斉藤
クンの手を振り払った。




だけどその拘束はあっけ
ないくらい簡単に外れる。


……斉藤クンの方にもう、
たいして力が入って
なかったからだ。




彼の目は、はだけた
あたしの肩に釘付けに
なってて――。




「………っ!!」




あたしは無言で乱暴に
ジッパーを引き上げ、
服を直した。


今さらもう、遅いけど。



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