《完》螺旋 ―*RASEN*― 〜禁断の迷路〜
だけどそれはまぎれも
なく、川原で聞いたあの
声だった。




「………け、珪………?」




あたしの口からは、興奮の
あまり弱々しいかすれ声
しか出てこない。




だけど珪はそれだけでも
わかってくれたみたいで、
短い沈黙の後、いぶかりを
なくした声でこう言った。




『なんだ――紗耶かよ。

ずいぶん久しぶりじゃん』




「……………!!」




答える代わりに、また涙が
滝のようにあふれ出す。



_
< 219 / 448 >

この作品をシェア

pagetop