《完》螺旋 ―*RASEN*― 〜禁断の迷路〜
「そうならいいと、僕も
思ってるんだけど。

それでもやっぱり、僕は
紗耶が周囲にうまく溶け
込めているかがどうしても
心配でね。


なんせ僕達は、ただの
母子家庭よりまだもっと
複雑だから……」




「…………え?」




珪の声を最後に、重苦しい
沈黙が訪れる。




意外なセリフに、珪は
マジマジと直杜の顔を
見つめるだけだった。




その視線を直杜は無言で
受け止め――ずいぶん
時間が経ってから、やっと
ささやくようにこう言った。



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