《完》螺旋 ―*RASEN*― 〜禁断の迷路〜
「え………?」




抽象的なセリフだがどこか
ヒヤリとする言い方に、
珪は直杜の顔を凝視した。




直杜は冗談ぽく肩をすくめて、




「だって僕には、紗耶に
必要とされることだけが
自分の存在理由だったからね。

紗耶がいなくなれば、僕の
居場所だって消えて
なくなってしまう。


だから――本当に妹を
必要としてたのは、
僕の方なんだよ――…」




「直杜……さん――…」




遠い昔を思い返す直杜の
瞳は、懐かしさと愛しさと
孤独の入り混じった、
深い色をしている。



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