《完》螺旋 ―*RASEN*― 〜禁断の迷路〜
『許さないよ。

そんなことは……』




耳鳴りのように、
お兄ちゃんの声が耳の奥で
響いた気がした。




(そうだ……そんなことは
許されない……)




そもそもあたしに、他人を
求める資格なんてない。




こんなふうに珪を求める
ことは、いけないことだ。




そして、危険だ。






「―――気をつけて
帰ってね、珪」




長い長い瞑想のあと、
あたしはようやく――
かすかな笑みを浮かべて、
そう告げた。



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